本のはなし

おもしろかった本をゆるーく紹介します

理想と現実。それとも。【牛肉と馬鈴薯 国木田独歩】

牛肉と馬鈴薯

国木田独歩

 

どんな話?

明治倶楽部を舞台に男たちが現実主義を牛肉、理想主義を馬鈴薯に例えて議論をしていくという内容。

あまり長い話ではないので1時間くらいで読むことができます。

 

難しいけどかっこいい

恥ずかしながら初めましての国木田さん。

今回は青空文庫で読みました。

友人とタイトルを見つけた時に、『牛肉とじゃがいもってカレー?』『いや、肉じゃがじゃない?』と笑ったことがきっかけで読み始めましたが、すごくかっこいい。

何がかっこいいのかうまく言えませんが、読み終わってすぐの感想は「かっこいい」の一言です。

カレーとか肉じゃがとか言っててすみませんでした。

 

内容が哲学的だったり、少し昔の小説特有の硬い文体だったりしてちょっと難しかったです。

でも、読み終わった後のハッとする感じが気持ちよくて読み直すことが苦にならない作品でした。

 

時代が時代なので女は〜とか男は〜という書き方はありますが、全体的に結構刺さる内容です。

 

お酒を飲みながら話していることもあって登場人物たちがみんな感情的で、読んでいるだけでも明治倶楽部にいる人々の声が聞こえて来るように感じます。

ぜひ朗読で聞いてみたいと思いました。

 

『武蔵野』とか他の作品も読んでみたい!

 

個人的に最後の展開が好きだったので、ネタバレしたくなくてふわっとした感想になってしまいました。

 

このあとラストのネタバレです(読了後推奨)

 

 

 

 

 

 

賑やかで切ないラスト

上村が持論を話し、みんなで牛肉か馬鈴薯かと言い合った後岡本は自分の願いを打ち明けます。

 

喫驚びっくりしたいというのが僕の願なんです」

                           

これなんですね。

岡本が何もかも捨ててでも追いたい願いというのは。

途中まで岡本は熱くこの願いについて語りますが、最後は笑って誤魔化します。

しかし、その顔には苦痛の色が浮かんでいる。

結局は自分の習慣に堕落してしまう哀しさ、周りが笑う中それを近藤一人だけが気づいているというのもまたいいですよね。

『怪盗クイーンはサーカスがお好き』試写会に行ってきました!

5月17日に新宿で行われた『怪盗クイーンはサーカスがお好き』の試写会に行ってきました!

原作のはやみねかおるさんの小説が大好きなのでとても楽しみにしてました。

 

原作の小説です↓

saku-book.hatenablog.com

 

まずエレベーターがラッピングされてる!

ここでテンション爆上がりです笑

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主人公のクイーンといえば薔薇!という感じなんですけどなんと試写会のプレゼントで造花の薔薇が配られたんです……!

素敵すぎる……。

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そして、肝心の映画ですが一言で言うと「夢のような時間だった」ですかね。

絵もとても綺麗でクイーンの美貌が最大限に引き出されていました。

詳しくはネタバレしちゃうのでいえませんが、はやみねファンを喜ばせる演出が盛りだくさんでした!

製作者さんの愛を感じました。

 

原作を全く知らない人でも十分楽しめる内容だと思うので、ぜひ観に行ってみてください!

 

 

 

 

 

素敵すぎる26文字、恋をしたくなる一冊

26文字のラブレター 遊泳舎編 いとうあつき絵

 

どんな本?

恋をテーマにした「都々逸(どどいつ)」が解説、現代解釈を交えたイラストとともに紹介されています。

「都々逸」とは、江戸の終わりから明治にかけて流行した唄のこと。
基本的には「7・7・7・5」のリズムになっています。

私自身この本で初めて「都々逸」という言葉を知りましたが、「ザンギリ頭をたたいてみれば文明開化の音がする」とかも都々逸なんですね。

 

イラストが綺麗

この本は本屋さんで表紙に一目惚れして買っちゃいました!
それぐらい絵が綺麗。

見開きで一つ都々逸紹介していて右ページに都々逸、左ページにイラストが載せられています。

イラストが現代解釈を交えているので、より都々逸を身近に感じられます。

 

とにかく共感の嵐
昔に作られた言葉なのに共感できることが多すぎて、恋する人の気持ちはどの時代も変わらないと改めて思いました。
いやぁ、ロマンチック!


「恋に落ちる」、「恋に破れる」、「恋に溺れる」など6つの章に分かれています。


胸で苦しき火は焚くけれど煙立たねば人知らぬ     

                    読み人知らず  p40

はぁぁ切ない......。
the 片想いじゃん......。
個人的にはこれが1番好きでした。

ここでは紹介できませんでしたがイラストも素敵すぎるので、ぜひ読んでいただきたいです!

 

 

恋したい方も、恋してる方も、当分恋はしたくない方もみんなが共感できる一冊です。

よい子になるためには?

よい子への道 おかべりか

 

どんな話?

学校に持っていってはいけないものやレストランでしてはいけないことなど、「してはいけない」ことをイラストで教えてくれます。

 

小学生の頃に図書館で借りて読みました。

おもしろすぎて何度も借りてました!

 

ジャンル的には漫画絵本ということになるようです。

 

 

そう来ましたか笑

とにかく想像を超えた「してはいけない」ことが面白すぎる。

小学生の頃は単純に面白いと思っていましたが、今読み返すとページをめくる度に「そうきたか笑」と言いたくなりました。

「風邪をひいた時に、風邪っぴきパーティーを開いてはいけない」とか大人は絶対思いつきませんよね笑

 

 

頭に残るイラスト

イラストも細部までしっかり描き込まれていて、隅々まで見たくなるような絵でした!

個人的には「笑い上戸の王子様」の絵がお気に入り。
なんか頭に残る絵です。
ぜひ一度読んで、見てほしいです!

 

 

もしかしたら小学生あるあるかも?

久々に読み返して、小学生の時にみんなで先生に双子入れ替えドッキリをしたことを思い出しました。
服や上履きを入れ替えたり、子どもなりに知恵を絞って頑張ったんですが担任には10分経たずにバレましたね笑

 

この本に載っているようなことまではしないにしても、こういうちょっとしたイタズラ、やってませんでしたか?

 

 

小学生時代のワクワク感を思い出せる一冊です。

誰かに手紙を書きたくなる。

ツバキ文具店 小川糸

 

どんな話?

鎌倉で文具店を営みながら、手紙の代書を請け負う鳩子が主人公。
代書の依頼人や鎌倉の人々との交流を通して、すれ違ったまま亡くなった祖母の想いに気づいていきます。

 

 

憧れの「丁寧な暮らし」
近所の人と海にご飯を食べに行ったり、お花見したりとほんとに「丁寧な暮らし」という言葉がぴったりな生活を送っている鳩子さん。

バーバラ夫人、男爵、マダムカルピスなど近所の人たちもみんなとても粋ですね。

私は都会育ちで近所の人と交流したりする機会があまりなかったので、この本に出てくるような生活は憧れます。


代書屋のお仕事でも依頼人のことを考えて紙、筆記用具、字体を選んでいく。
ほんと素敵.....!

挿絵のように鳩子さんが書き上げた手紙が載っているのがまた良いですね。
実際に見ることでイメージが湧きます。

 

手紙、書いてますか?

私自身、友達とかに連絡する時はLINEを使ってしまいほとんど手紙を書くことはありません。でも、たまには便箋や筆記用具にこだわって手紙を書いてみるのもいいですよね。

 

そして、ガラスペンや万年筆を使いこなせる人ってかっこいい!

私も綺麗な便箋に素敵なインクでとは思うんですけど字が汚いのでね......。
(友人に「重力に押し潰された字」と言われた女)
ペン習字やろうかな。

 

この本を読んでいると、手紙とはかなり距離がある私みたいな人間でも手紙じゃないと伝わらないこともあるのかもしれないと思わされます。

 

 

内容的にも人を想う話が多く、じんわりと心に染みる一冊です。

ワクワクが止まらない【怪盗クイーンはサーカスがお好き はやみねかおる】

怪盗クイーンはサーカスがお好き 

はやみねかおる

 

6月にアニメ映画化!
映画を観る前にぜひ一度原作を!

 

どんな話?

『怪盗クイーン』は大怪盗クイーンがパートナーのジョーカーと世界最高の人工知能RDと共に大活躍するシリーズ。
この巻では謎のサーカス団と対決します。

薔薇が似合うクイーンとクールだけど優しいジョーカー、嘘も冗談もお手のものな人工知能RDが主な登場人物。


この3人を含め、出てくる人みんなキャラが濃い!

ドキドキワクワクっていう言葉がこんなにも似合う世界があるのかって感じです。


元々大好きだったはやみねかおるさんの本ですが、実は小中学生の頃には読んでなくて。
高校受験が終わった瞬間に一気に全巻揃えました。
それ以来いろんな人に布教しまくってます。

小学生でも大人でも楽しめるシリーズです。

 

児童書だけど深い!

「なにかを助けるっちゅうのは、思とるより、むずかしいことやで。それに、思てるほど、助けられるほうは哀れな存在やない。それをまちがうと、いらんおせっかいになってしまう。」p213

面白くて終始ニヤニヤしっぱなしだけど、たまに出てくる重めな言葉にドキッとしました。
面白おかしいだけでは終わらない、さすがです。

私は始まり方と終わり方がとにかく好きです。
心がじんわりします。

 

クイーンがかっこいい

クイーンは普段ダラダラしている時と、ここぞという時のギャップが凄すぎて!
もうかっこいい。
私もトルバドゥール(クイーンの飛行船)に乗せて!連れてって!って感じです笑

とりあえず、コロナが落ち着いたらサーカスを観に行こうと思います。

 

 

読み始めたと思ったら次の瞬間読み終わってる、そう言っても過言じゃないくらい夢中になりる一冊です。